放置した場合のリスク
検査結果を見て、何をするべきかを考える
◆検査結果の「基準値」とは何か
各検査項目には、「基準値」と呼ばれる範囲があります。これは、健康な人の検査データを元にして決められています。具体的には
という方法で、決められています。
分かりやすい例として、体重で考えてみましょう。
健康な人が200人いたとします。体重の順に並び、軽い方の5人(2.5%)と重い方の5人(2.5%)を除外します。残りの190人(9.5%)の体重が、基準値の範囲になります。
基準値の範囲の中で一番体重が軽い人(200人中6番目に軽い人)の体重が43㎏、基準値の範囲の中で一番体重が重い人(200人中6番目に重い人)の体重が85kgとすると、基準値は、「43㎏~85kg」となります。
健診結果の中で、「基準値」から少し外れていても問題がないことがありますし、「基準値」内におさまっていても問題があることもあります。これまでの経過や他のデータとの関連性などを、総合的に判断する必要があります。
◆総合的に判断された「結果報告書」から考えるリスク
最近では、健診を受けた当日に、簡易的な「報告書」を受け取れることがあります。しかしこれは、あくまでも各検査結果に対して、基準値から外れているかどうかを見ているものであり、医師などによる総合的な判断結果とは違うことが多いようです。 健診から数週間~1か月くらい経つと、総合的な判断を加えた、「結果報告書」が送られてきます。健診を行った機関によって、多少の違いはありますが、おおよそは以下のような判定区分が明記されています。
一般健診の場合と特定健診・特定保健指導の場合を比較しても、多少の違いはあります。
また、健診を行った機関や結果報告書を作成した機関(いずれも医療機関を含む)でも、判定区分には多少の違いがあります。
では、それぞれの判定には、どのようなリスクが隠れているのでしょうか。
例えば、次のような検査結果だったとします。
HbA1cが6.0%と、基準値よりも少し高い
空腹時血糖値も尿糖も正常範囲内
このような結果の場合、検査前1,2ヶ月間、血糖値が高い時間が続いていた可能性があります。この様な状態ですと、今すぐに糖尿病と診断されることは少ないのですが、血糖を上げてしまうような生活習慣(不適切な食事、運動不足、ストレス)が無かったか振り返り改善する必要があります。
◆結果報告書を活用しましょう
健診後の「結果報告書」は、受け取ったら終わりではなく、しっかりと活用していくことが必要です。
◆判定結果を放置すると…
例えば、B判定なら自覚症状はありませんし、C判定の場合でも、自覚症状がないと受診しないケースがほとんどです。しかし、C判定以上になると、生活習慣によってはあっという間にD判定になることもあります。検査結果によっては、1年間放置するだけで、一生薬を飲む生活になることもありますし、場合によっては、入院や手術などの治療が必要になることもあります。
健診とは、もともと自覚症状のない「健康と思われる人」の中から、病気の可能性がある人をふるい分ける「スクリーニング」検査です。自覚症状がないうちに病気を発見し、必要な治療を行うことが目的ですから、少しでも気になるところがあったら、医師や保健師に相談してください。また、症状がなくても精密検査や治療が必要という判定が来たら、すぐに医療機関を受診してください。