禁煙を促すための啓発コンテンツ

禁煙外来で今度こそやるぞ 禁煙を

◆はじめに

12 禁煙を促すコンテンツ

ひと昔前の広告に「たばこは男のスタイル」と言うのがありました。当時はたばこが男のかっこ良さ,おしゃれのシンボルでした。
その頃の映画やドラマには、ヒーローがやたらとたばこを吸い、平気で道路にたばこの”ポイ捨て“をするシーンが見られました。たばこはまさに大人のスタイルそのものでした。
現在の状況からは考えられないことですが、病院で、診療を待っている待合室の隣で、喫煙を平気でしている人もいました。そこには灰皿も置いてあり、当時は病院の中でも受動喫煙は存在していたのです。
時代は大きく変わり、医学も進歩して、たばこは喫煙する人だけでなく、受動喫煙(他人のたばこの煙を吸わされる)においても、がんを始めとする多くの病気の発生要因として指摘されるようになりました。
禁煙外来の始まりは、1994年6月医師の高橋裕子氏が、大学病院で、異例の医療自由診療部門「禁煙外来」の枠を設けたこととされています。
そして1995年頃から、各医療医院で、一人では禁煙できない人のために、医師の指導を受けながら、医師と患者の二人三脚で禁煙を成功させようと「禁煙外来」が普及したのです。

◆禁煙外来とは

一人で禁煙を始めると、いらいらや喫煙しないことへの不安な気持ちが現れ、「1本だけなら」とたばこを吸ってしまうことが多いようです。
禁煙外来は、一人では禁煙が難しい人が、医師のカウンセリングを受けながら、長期間禁煙に取り組んでいくものです。
禁煙治療は、医師のアドバイスにより、薬を使うことで、禁煙の辛さを和らげ、より楽に、禁煙する事が出来ます。また、喫煙することにより起こる病気の合併症を防げるといったメリットもあります。

◆禁煙治療は健康保険等で受けられる

2006年より禁煙治療に健康保険等が適用され、禁煙治療を受ける人の負担が軽くなりました。 健康保険等で禁煙治療を受ける場合は一定の要件があり、1回目の診療で医師が確認します。
下記の要件を満たした場合は健康保険が適用され、満たさなかった場合は自由診療で禁煙治療を受けられます。

1、ニコチン依存症を診断するテスト(TDS)で5点以上

2、1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上

3、禁煙したいと思っている人

4、医師から受けた禁煙治療の説明に同意した人

以上が医師の確認事項となります。
なお健康保険等で、禁煙治療のみを行った場合、自己負担額は3割負担として、13,000~20,000円が目安となります。

◆禁煙治療の流れ

一般的な禁煙治療スケジュールは12週間に渡り、計5回の診療がおこなわれます。
各診察時には、息に含まれる一酸化炭素の濃度を測定します。一酸化炭素は、タバコの煙に含まれる代表的な有害物質ですが、禁煙を始めればこの値は徐々に低下します。
また禁煙を継続するためのアドバイスや、禁煙補助薬の処方を受けることができるため、禁煙はしやすくなります。
治療の流れとしては、初回診察から1回目の再診まで2週間、2回目の再診まで、4週間、3回目の再診まで、8週間、4回目の再診まで12週間かかり、終了となります。

◆たばこを吸う理由 喫煙者

たばこが体に悪いことを知らずに、吸っている人はほとんどいないでしょう。
しかし、体に悪いと言っても、具体的にどのような病気が関係するのかということまでは知らない人が多いと言えます。
喫煙により、循環器疾患、糖尿病、脳卒中、骨粗しょう症、喉頭がん、食道がん、胃がん、子宮頸がん等のあらゆるがんや病気以外にも、生殖機能の低下、流産、早産の可能性が高まります。

◆禁煙した人の理由は

反対に、これまで1日1箱~2箱を吸うヘビースモーカーに禁煙をした理由を聞くと、
「自分自身の健康に良い」という回答が最も多く、年代も20~60代と全般に渡った答えでした。次いで、「家族の健康のため」としている人が多いです。この人たちは、結婚して家族がいる30代~50代の人たちでした。
三番目に多いのは「お金がたまる」という回答で、年代には関係なく、たばこの値上げが響いていることがうかがえます。
そして会社員を中心とした人たちの答えが、「たばこを吸える場所を探さなくてよい」ということでした。
これは、オフィスを中心に、レストラン、ホテル,公共施設などの多くの施設がほぼ全面的に喫煙禁止になったことが背景にあるようです。
ほかに、「火の始末を気にしないでいい」「ご飯をおいしくたべられる」など、禁煙したメリットを挙げていました。

◆メールでやめられる禁煙マラソン

たばこを吸わない人にとって聞き慣れない「禁煙マラソン」という言葉があります。
禁煙マラソンとは、禁煙に取り組んでいる人が、毎日適切なアドバイスをメールで受け取ることができるシステムのことを言います。
禁煙マラソンは、1996年インターネットのメールシステムを使って禁煙希望者のためにスタートしました。年を重ねるごとに、禁煙希望者の多様化するニーズに応えて、スタイルを変えていきました。現在は、いつからでも参加できる随時スタートコースや、禁煙メルマガコースなどが設置されています。

◆禁煙マラソンの支援プログラム

禁煙マラソンでは、参加者のライフスタイルに合わせて、多岐に渡ったコースを提供しています。「一般禁煙希望者向けコース」「未成年専用コース」「大学生専用コース」「職域・自治体企画専用コース」などがあります。こうしたスタイルの変化と同時に、禁煙の治療方法も変化しています。99年からは、皮膚に貼るニコチンパッチが認可されたのを受け、禁煙マラソンのメンバーも、ニコチンパッチを積極的に活用しています。ここのメンバーになることで多くの喫煙者が、禁煙に成功しています。

◆禁煙の薬、飲む、貼る、噛む

現在禁煙の薬には、噛むタイプ、貼るタイプ,飲むタイプの3つがあります。

ニコチンガム
ニコチンを含んだガムで、これを噛むことにより口の粘液からニコチンが吸収されます。
長所としては、たばこを吸いたくなった時にはいつでも使用でき、ニコチン補充ができると同時に、口の寂しさも解消します。

ニコチンパッチ
ニコチンを含んだ皮膚に貼る薬です。1日1回上腕やお腹、背中などに貼ります。標準的な試用期間は8週間程度です。皮膚のかぶれを防ぐには、毎日貼る場所を変えるとよいでしょう。
ニコチンパッチを入手するには、医師の処方が必要になります。
診察を受ける前に、処方してもらえるかを確認することが大切です。
使い方は簡単で、はがれにくい、かぶれにくい所に貼るだけです。
貼った後のかぶれや、かゆみなどに注意しましょう。

バレニクリン
内服する禁煙治療薬で、1日食後に2回飲みます。飲み始めてから8日目に、禁煙を開始し、通常12週間内服を継続します。ニコチンパッチ同様、医師の処方が必要となります。
結果が出るまで1週間程度かかり、ニコチンを含まないことから心臓病を患っている人、妊娠中にも使用が可能です。

◆禁煙の薬それぞれの長所

現在禁煙のための薬としては、1994年ニコチンガム、1999年ニコチンパッチ、2008年バレニクリンの3種類が認可されました。それぞれの長所を知って薬選びを行ってください。

ニコチンガム
1、冷たい水や、熱いお茶を飲む。
1、たばこが吸いたくなった時にいつでも使用できます。
2、ニコチン補充と同時に、口の寂しさも紛らわせることができます。

ニコチンパッチ
1、人に気付かれない。
2、接客などの職場や、歯、顎の問題などでガムを噛めない人でも使用できます。
3、医師に処方してもらうタイプは、一定の要件を満たすと健康保険等が適用されます。

バレニクリン
1、一定の条件を満たすと、健康保険等が適用されます。
2、飲むだけなので便利です。
3、ニコチンガムやニコチンパッチとは違い、ニコチンを含んでいません。
4、肌の弱い人でも使用できます。
5、接客などの職場や、歯・顎の問題などでガムを噛めない人でも使用できます。
6、ニコチンを含まないため、心臓疾患を抱えている人や妊婦でも使用できます。

◆禁煙は大病のリスク軽減につながる

たばこを吸うことによる心筋梗塞の死亡リスクは2.6倍になります。
たばこは高血圧の敵で、脳卒中のリスクは、3.8倍です。冠動脈疾患による死亡のリスクは、1.8倍というデーがあります。
禁煙すれば、これらの数字が徐々に低下し、タバコを吸わない人と同じレベルになります。
今からでも遅くはありません。禁煙にチャレンジしてみませんか。

◆思い立ったらすぐ禁煙を

「長年吸ってきた肺は真っ黒だろう、今さら禁煙しても無駄だ」と考えている人は多いはずですが、そんなことはありません。
禁煙は始めたら、短期間のうちに効果が現れるものです。例えば肺の機能は、2週間~3ヵ月で明らかに回復兆候が見られます。咳や息切れも1~9ヵ月で改善されます。
禁煙を継続することにより、さまざまな疾患のリスクが、喫煙しない人に近づいて行くのです。

◆火を使わず加熱する電子たばこが登場

どうしてもタバコがやめられない、しかし家族や周りの人に迷惑を掛けたくない、という人のために登場したのが「火を使わない,灰が出ない、煙が出ない」たばこです。
しかもたばこ本来の味が楽しめる、と言う嘘のようなたばこが市販されています。
禁煙を働きかけるには、このタバコを勧めるとよいでしょう。
例えば車に乗った時には、煙が出ないので、車内でも快適に過ごせ、周りの人に迷惑を掛けずに吸うことができます。
空気を汚さないので、家の中でも気兼ねなく吸えます。
現在公的機関に働きかけており、歩きたばこ禁止条例のある市区町村でも近い将来認可されるかもしれません。
最先端のテクノロジーを生かした「IQOS」(アイコス)は、コンビニなどで市販されています。革新的なたばこ加熱システム、IQOSは、スイスで開発され、内部の加熱ブレードには金とプラチナを採用し、セラミックコーティングしています。
ブレードを常に適温にコントロールすることにより、たばこを穏やかに、過熱します。
会社、レストラン、家庭などでも喫煙でき、煙の代わりに出るのが、ベイパー(蒸気のようなもの)で、周囲の人が吸っても全く害のない蒸気なので、気兼ねなくいつでも吸える優れものです。

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