改善方法

検査結果を元に、生活習慣改善を

40歳以上は特に注意したい「メタボリックシンドローム」

20~30歳代の場合、一般的な企業の健康保険組合による健康診断(以下、健康保険による健診)や、国民健康保険による健康診断(以下、国保健診)の対象外になっていることもあります。しかし40歳以上になると、法律上で「特定健診・特定保健指導」を行うことになっていますので、健診を受ける人は多くなります。 特定健診・特定保健指導とは、それまでの一般健康診断とほぼ同じですが、「腹囲の測定」を行うことにより、「メタボリックシンドローム」の早期発見を行い、必要に応じて適切な保健指導を行う、というものです。 メタボリックシンドロームの判定基準は、以下の通りです。

必須項目 (内臓脂肪蓄積)
ウエスト周囲径
男性 ≥ 85cm
女性 ≥ 90cm
選択項目
3項目のうち
2項目以上
1. 高トリグリセリド血症
かつ/または
低HDLコレステロール血症
≥ 150mg/dL

< 40mg/dL
2. 収縮期(最大)血圧
かつ/または
拡張期(最小)血圧
≥ 130mmHg

≥ 85mmHg
3. 空腹時高血糖 ≥ 110mg/dL

● ウエスト周囲が、男性は85㎝以上、女性は90㎝以上ある
● 脂質異常(高トリグリセリド血症)、高血圧、高血糖のうち、2つが該当する
2つの条件が重なると、「メタボリックシンドローム」と判断されます

将来、さまざまな病気の原因になる「メタボリックシンドローム」

メタボリックシンドロームのまま放置していると、さまざまな生活習慣病の原因となります。

●糖尿病
内臓脂肪の増加により、糖の代謝が上手くできなくなり、糖尿病を発症します。

●高血圧症
日本人の場合、高血圧の最大の原因は、塩分の取りすぎです。また、特に中年以降の男性には「肥満が原因の高血圧」が増えていますし、飲酒・運動不足も高血圧の原因になります。

●脂質異常症
内臓脂肪の増加により、血液中の中性脂肪やHDLコレステロールが減少し、動脈硬化を起こします。LDLコレステロールは、内臓脂肪の増加との関連性は低いとわれますが、LDLコレステロールが増えすぎると、動脈硬化が促進されます。

●狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)
動脈硬化は、狭心症や心筋梗塞の原因になります。高血圧、内臓脂肪の蓄積などを、早期に改善する必要があります。

●脳血管障害(脳卒中)
脳血管障害(脳卒中)は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」と、脳の血管が破れる「脳出血」や「くも膜下出血」に分かれます。いずれも、高血圧が原因となることが多く、脳梗塞はさらに、動脈硬化や脂質異常症も関係しています。

●高尿酸血症
内臓脂肪の蓄積が続くと、血液中の尿酸が増え(高尿酸血症)、痛風の原因となります。

その他の病気の可能性があるとき

健診では、肝臓の病気や貧血、あるいはがんの可能性などが分かることもあります。

●肝臓の病気が指摘されたとき
肝臓をいたわる生活習慣に変える必要があります。
・食生活の見直し
・良質なタンパク質を取る:肝機能を回復させる
・食べ過ぎに注意:肝臓に蓄積される脂肪を減らす
・お酒は控えめに:肝臓は、アルコールを分解しているので、飲みすぎに注意

●貧血が指摘されたとき
貧血の原因はいくつかありますが、一番多いといわれているのが「鉄欠乏性貧血」です。
・食生活の見直し
・無理なダイエットはしない
・良質なタンパク質、鉄分、ビタミンをバランスよく食べる
・運動習慣を身に着ける
・食欲をアップさせるために、適度な運動を心がける
貧血そのものがメタボリックシンドロームと関係することはありませんが、若いころからこれらの生活習慣を身に着けておけば、将来、メタボリックシンドロームになる可能性が低くなります。

●がんの可能性を指摘されたとき
がんは、早期発見・早期治療がもっとも重要です。若い人ほど進行が早いといわれますが、がんの種類やそれまでの生活習慣によって、変わってきます。
がん検診は定期的に受け、少しでも疑わしいことがあると判定された場合は、すみやかに医療機関を受診し、より詳しい検査を受けましょう。

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