結果の読み方・項目の説明

検査結果から、自分の状態を知ろう!

 
分類 項目 血液/尿 正常範囲
血圧 収縮期血圧 130mmHg未満
拡張期血圧 所見なし
血液 赤血球数 (R,RBC) 血液 男性410万~530万個/μL
女性380万~480万個/μL
ヘモグロビン (Hb) 血液 男性14~18g/dl,女性12~16g/dl
ヘマトクリット (Ht,Hct) 血液 40~70mg/dl
白血球数 (W,WBC) 血液 4000~9000個/μL
血小板数 (plt,PLT) 血液 15万~40万個/μL
血清カルシウム (Ca) 血液 8.6~10.1mg/dl
MCV 血液 84~99fl
MCH 血液 26~32pg
MCHC 血液 32~36%
脂質代謝 総コレステロール (T-chol) 血液 120~220mg/dl
HDLコレステロール (HDL-chol) 血液 40~70mg/dl
LDLコレステロール (LDL-chol) 血液 70~139mg/dl
中性脂肪 (TG) 血液 50~149mg/dl
糖代謝 空腹時血糖 血液 70~110mg/dl未満
HbA 1c (ヘモグロビンエーワンシー) 血液 4.6~5.6%
尿糖 (US, UG) 尿 陰性(定性検査)
尿酸 尿酸 (UA) 血液 男性4.0~7.0mg/dl 女性3.0~5.5mg/dl
腎・尿路系 尿たんぱく (P,E) 尿 陰性
尿潜血 (OB) 尿 陰性
尿素窒素 (BUN) 血液 8~20mg/dl
クレアチニン (Crea) 血液 0.7~1.3mg/dl
肝・膵臓機能 ZTT 血液 3~14単位
AST (GOT) 血液 10~34単位
ALT (GPT) 血液 5~46単位
γ-GTP 血液 男性8~61単位 女性5~24単位
ALP 血液 男性102~249単位 女性~211単位
総ビリルビン (T-bil) 血液 0.3~1.2mg/dl
尿ウロビリノーゲン 血液 弱陽性(±)
総たんぱく (TP) 血液 6.5~8.1g/dl
アルブミン (Alb) 血液 4.1~5.1g/dl
HBs抗原 血液 陰性
HBs抗体 血液 陰性
HCV抗体 血液 陰性
アミラーゼ (AMY) 血液 血清42~144単位 尿130~950単位
炎症反応 CRP 血液 陰性、または0.6mg/dl以下
リウマトイド因子 (RA) 血液 陰性、または35単位以下

血圧

03 血圧は、収縮期血圧と拡張期血圧があります。
収縮期血圧:心臓が収縮したときに、血管にかかる圧力
拡張期血圧:心臓が拡張したときに、血管にかかる圧力
下記の図は、日本高血圧学会が公表している、収縮期血圧と拡張期血圧の関連を示したものです。どちらか片方でも正常範囲より高くなると、高血圧と診断されます。



成人における血圧値の分類(mmHg)
血圧値の分類

血圧は、わずかなことでも変動します。家庭での測定値と、診察室での測定値が違うときは、血圧測定の時に、申告しておくと良いでしょう。

血液

【赤血球数(R,RBC) 】

赤血球は、血液中の血球成分の1つで、血液中の酸素を細胞へ運ぶ働きがあります。通常、血液中の赤血球の量は一定に保たれています。赤血球の量が減ると、酸素を細胞まで運べなくなり「貧血」になります。赤血球の増えすぎ状態は「多血症」と言います。

【ヘモグロビン(Hb) 】

ヘモグロビンは、赤血球の中に多く含まれており、赤血球や血液を赤く見せている成分です。血液に取り込まれた酸素は、赤血球の中にあるヘモグロビンと結合し、体の隅々まで運ばれます。赤血球の数が正常値でも、ヘモグロビンの量が少ない場合は貧血になります。(「鉄欠乏性貧血」といいます)。

【ヘマトクリット(Ht,Hct) 】

ヘマトクリットは、一定量の血液中に含まれる赤血球の容積の割合を表します。これを調べることで、貧血があるかどうかが分かり、「赤血球数」「ヘモグロビン」「ヘマトクリット」の3つのデータを分析すると、同じ「貧血」でも、どのタイプであるか、おおよそのことが分かります。

【MCV、MCH、MCHC】

MCV:ヘマトクリット値を赤血球数で割ったもので、赤血球1個の大きさを表します。
MCH:ヘモグロビンを赤血球数で割ったもので、1個の赤血球に含まれるヘモグロビン量を表します。
MCHC:ヘモグロビンをヘマトクリット値で割ったもので、1個の赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度を表します。
この3つのデータから、貧血の種類を調べることができます。

【白血球数(W,WBC) 】

白血球は、体内に入った細菌やウイルスなど、体にとっての異物を退治して体を守る「免疫機能」をもっています。体内に異物が入ったとき(感染したとき)や、白血球を作り出す「骨髄」に異常が起きたときは、白血球数が増加します。白血球を作る細胞の働きが低下すると、白血球数も少なくなります。 白血球の中には働きが異なる5つの細胞がありますが、これらの構成比は病気によって変わります。

【血小板数(plt,PLT) 】

血小板は、ケガなどで破れた血管をふさいだり、血液が固まるように働きかける機能をもっています。血小板が増えすぎると、血液の中に血の塊(血栓)ができやすくなり、細い血管が詰まりやすくなります。また、血小板が少なすぎるときは、血液が固まりにくくなっています。 血小板の数が異常に増えたり減ったりするときは、大きな病気が隠れていることもありますので、精密検査が必要になります。

【血清カルシウム(Ca) 】

カルシウムは、骨をつくる、筋肉や神経の働きを助ける、血液を固めるなどの機能をもっています。血液の中のカルシウムは一定量を保っていますが、多すぎる時はCaを調節する副甲状腺機能が病的に高まっている「副甲状腺機能亢進症」、「悪性リンパ腫」や「がん」の影響で骨からCaが溶け出している状態などを疑います。逆に少なすぎるときは、「副甲状腺機能低下症」や「腎不全」の可能性があります。



◆脂質代謝

【総コレステロール(T-chol) 】

コレステロールは、細胞膜を形作る成分です。コレステロールが少なすぎると、細胞膜の働きが悪くなり、細胞が上手く栄養を取り込めなくなってしまいます。また、コレステロールは、さまざまなホルモンの原料にもなるため、健康維持には必要な成分です。しかし、増えすぎると、動脈硬化の原因にもなります。

【LDLコレステロール(LDL-chol) 】

LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役目を持っています。増えすぎた場合は余剰なコレステロールを血管内に放置するため動脈硬化を引き起こす原因となり、ひいては血管を詰まらせる原因となります。

【HDLコレステロール(HDL-chol) 】

コレステロールは肝臓で作られ、タンパク質と結合して「リポタンパク」になって全身を回り、コレステロールの運搬と回収をしています。リポタンパクは、比重で分けられるのですが高比重のものがHDLコレステロールです。 HDLは使いきれなかったコレステロールや、血管の壁に付いたコレステロールを回収します。簡単に言うと血管壁から余分なコレステロールを回収する役目を持っています。HDLが少なすぎると、体の中に不要なコレステロールが溜まり、動脈硬化の原因となるだけではなく、やがては血管をふさぐ原因になります。

通常は、LDLコレステロール、HDLコレステロールともに、程よいバランスを保っていればどちらも身体に必要なものです。しかしLDLコレステロールが増えると、体の中に余分なコレステロールが溜まり、動脈硬化の原因になるので悪玉コレステロールと呼ばれる場合があります。反対にHDLコレステロールは血管のお掃除屋さん的な仕事をするので少なすぎると血管にコレステロールが溜まり動脈硬化の原因となります。それゆえ善玉コレステロールと表現することもあります。

【中性脂肪(TG) 】

中性脂肪は、体の中にある脂肪の1つで、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられており、体を守るクッションの機能や、体温を維持する機能をもっています。体を動かすエネルギー源には、通常は糖質が使われますが、糖質が不足すると蓄えていた中性脂肪を燃やして、エネルギー源にします。しかし、使われない中性脂肪が増えすぎると、動脈硬化の原因となります。



◆糖代謝

【空腹時血糖】

血糖とは、血液中に含まれるブドウ糖のことで、空腹時血糖は、その名の通り空腹時の血糖値です。食事をすると、主食に含まれる炭水化物は糖質(ブドウ糖)まで分解され、腸の血管から吸収されると血液中をめぐり体の主なエネルギー源となります。血糖値は食後に上がりますが細胞の中に取り込まれるため速やかに下がります。血糖を細胞に取り込む役目はインスリンというホルモンが担っておりますが、インスリンが不足する、あるいはインスリンが上手く働かなくなると、血糖値は下がらなくなります。これが糖尿病です。

【HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) 】

HbA1c(グリコヘモグロビン)は、赤血球の中にあるヘモグロビン(Hb)と、血液中で使われなかったブドウ糖が結合したものです。血糖値が高い状態が続くと、Hbとブドウ糖の結合率が上がるためHbA1cも増加します。一度糖と結合したHbは赤血球の寿命が尽きるまで離れないので、過去1~2か月の血糖の状態を知る目安となります。空腹時血糖が低くても、HbA1cが高い場合は、過去に血糖値が高い状態が長く続いていたことを示します。

【尿糖(US, UG) 】

尿糖は、尿の中に含まれる糖質の量を表しています。尿は、腎臓で血液をろ過(糖などを再吸収する)して作りますが、血糖値が高い状態が続くと、腎臓での再吸収が追い付かなくなり、尿の中に糖質が出てきますので、糖尿病の人は尿糖が陽性になる場合があります。血糖値が高くなくても尿糖が出ること(腎性糖尿)もあります。



◆尿酸

【尿酸(UA) 】

尿酸は、細胞が生まれ変わるときにつくられる「プリン体」という物質が分解されてつくられたものです。通常は、尿から排泄されていますが、尿酸が作られすぎたり、うまく排泄されなくなると、血液中の尿酸値が高くなります。尿酸が高い状態(高尿酸血症)が続き、関節などに溜まって炎症を起こすのが痛風で、激痛を伴う発作(痛風発作)がみられるようになります。高尿酸血症は痛風以外にも心臓病や腎臓病を起こす原因となります。



◆腎・尿路系

【尿タンパク(P,E) 】

尿タンパクは、尿に含まれるタンパク質です。血液中に含まれるタンパク質は、腎臓でろ過(再吸収)されますが、腎臓の働きが悪くなると、タンパク質の再吸収が追い付かなくなり、尿中に出てきてしまいます。尿中にタンパク質があるかどうかで、腎臓の障害があるかどうかを見分けることができます。

【尿潜血(OB) 】

尿潜血は、尿中に、肉眼では見えない血液が含まれているかどうかを調べます。通常は陰性(含まれない)ですが、腎臓や尿管、膀胱、尿道のどこかに出血があると、陽性(尿中に血液が含まれている状態)になります。

【尿素窒素(BUN) 】

尿素窒素は、タンパク質が分解されてできる老廃物のことで、通常は尿とともに排泄されますが、腎機能が低下すると、血液中の尿素窒素をうまく排泄できなくなり、血液中の尿素窒素の量が増えます。尿素窒素が増えすぎたときは、腎機能の低下、消化管出血、心不全などが考えられます。ステロイド薬の服用でも尿素窒素は増えます。尿素窒素が減りすぎたときは、栄養不足、アルコール性肝炎、尿崩症(大量の尿が出る)、妊娠などが考えられます。

【クレアチニン(Crea) 】

クレアチニンは、筋肉にあるクレアチンから作られ、尿とともに排泄されます。クレアチニンは、腎機能が低下するとともに増え、クレアチニンが増えすぎたときは、「慢性腎炎」や「腎不全」の可能性があります。



◆肝臓・膵臓機能

【ZTT】

ZTTはタンパク質を変性させる試薬を加えることで特定のタンパク質(γグロブリン)を濁らせ、その度合いでγグロブリンの含まれる量を量る検査です。血液中には、アルブミンとグロブリンというタンパク質があり、アルブミンは主に肝臓で作られています。肝機能が低下すると、アルブミンが作られなくなり、血液中のグロブリンの割合が増えます。ZTTはグロブリンの含有量を測る検査であり、ZTTが増えたときは、「慢性肝炎」や「肝硬変」、または「肺結核」や「膠原病」、「多発性骨髄腫」の可能性があります。

【AST(GOT) 】

ASTは、肝臓に多い酵素であり、肝臓の障害により肝細胞が壊れると、血液中のASTが増えます。ただし、「心筋梗塞」や「筋ジストロフィー」、「多発性筋炎」などでも増えるため、次のALT(GPT)と併せて、病気を推測します。

【ALT(GPT) 】

ALTは、そのほとんどが肝臓にありますので、これが高い場合は、肝臓に何らかの病気があります。また、ASTと併せて分析することで、その状態を予測することができます。例えば、AST、ALTともに500単位を超すような場合は、肝臓の細胞が急激に障害されていると推測されますので、「急性肝炎」や「非アルコール性肝炎」、「肝硬変」、「肝臓がん」などの可能性があります。AST、ALTともに150単位くらいの値が長く続く場合は、「慢性肝炎」や「肝硬変」、「肝臓がん」などの可能性があります。片方が正常で、もう片方が若干基準値を上回るときは、「アルコール性脂肪肝」や「心筋梗塞」、「筋ジストロフィー」などの可能性ががあります。

【γ-GTP】

γ-GTPは、肝臓の「解毒作用」に関係している酵素です。γ-GTPが増えすぎたときは、「肝炎(急性/慢性)」や「アルコール性肝炎」、「薬物性肝炎」、「肝硬変」、「肝臓がん」、あるいは「胆道の結石」や「胆道がん」、「胆のうや胆道の炎症」、「膵臓がん」が疑われます。

【ALP】

ALP(アルカリホスファターゼ)は、肝臓、腎臓、腸管、骨など、さまざまな臓器に含まれている酵素で、これらの臓器に障害が起こると、血液中に流れ出します。また、胆のうや胆管などに病気があると、胆汁の通り道がふさがれてしまうので、胆汁の中のALPが血液中に漏れ出します。また、「肝炎(急性/慢性)」や「肝硬変」、「肝臓がん」、「骨の病気」などでも高くなります。尚、検査の数時間前に脂肪分が多い食事をとると、肝臓などに異常が無くても、ALPが高くなることがあります。

【総ビリルビン(T-bil) 】

ビリルビンは、赤血球中のヘモグロビンが、寿命を終えてできる黄色い色素です。通常は胆汁に含まれており、肝臓を経て便とともに排泄されます。肝機能が低下したり、胆のうや胆管など「胆道系」の病気があると、うまく排泄されなくなり、血液中にあふれ、白目の部分や皮膚などが黄色くなる「黄疸」の原因となります。ビリルビンが増えすぎたときは、「肝炎(急性/慢性)」や「肝硬変」、「肝臓がん」、「胆石症」、「胆のう炎」、「胆のうがん」、「膵臓がん」などの可能性があります。

【尿ウロビリノーゲン】

ウロビリノーゲンは、腸管内に贈られたビリルビンが分解されてできます。多くは便となって排泄されますが、一部は血液中に吸収されてやがて尿となって排泄され、一部は肝臓に戻って胆汁成分になります。肝臓や胆道系の病気があると、このサイクルが上手くいかなくなり、尿中のウロビリノーゲンが増えます。尿中のウロビリノーゲンが増えるときは、「疲労」や「肝炎」、「肝硬変」、「肝臓がん」などが疑われます。尿中のウロビリノーゲンが陰性(無くなる)のときは、「胆道系の病気による胆道の閉塞」が疑われます。

【総タンパク (TP) 】

総タンパクは、血清中(血液のうち、赤血球などの成分を除いたもの)に含まれる、タンパク質の総量(アルブミン+グロブリン)です。タンパク質の多くは肝臓で作られます。 総タンパクが増えすぎたときは、「慢性肝炎」や「肝硬変」、「膠原病」などが疑われます。 総タンパクが減りすぎたときは、「栄養不良」や「消化吸収障害」、「重度な肝臓障害」、「ネフローゼ症候群」などが疑われます。

【アルブミン(Alb) 】

アルブミンは、肝臓で作られるタンパク質です。アルブミンが3.5 g/dLまで減ると、「栄養不良」や「肝臓病」、「腎臓病」などが疑われます。2.5 g/dL以下になると、「むくみ」や「腹水」などがみられるようになります。総タンパクからアルブミンを引いたものがグロブリンで、アルブミンとグロブリンの比率(A/G比)は通常、1.3~2.0くらいです。

【HBs抗原、HBs抗体、HCV抗体】

ウイルス性肝炎のうち、B型肝炎ウイルスと、C型肝炎ウイルスへの感染の有無を調べます。
HBs抗原が陽性:B型肝炎ウイルスそのものがある(現在、B型肝炎ウイルスに感染している)
HBs抗体が陽性:B型肝炎ウイルスに対する抗体がある(過去、B型肝炎ウイルスに感染したが、現在は治っている)
HCV抗体が陽性:C型肝炎ウイルスに対する抗体がある(過去、C型肝炎ウイルスに感染したか、現在も感染している)

【アミラーゼ(AMY) 】

アミラーゼは、唾液や膵液(膵臓から分泌される液体)に含まれる、消化酵素です。血液中と尿中のアミラーゼが増えたときは、「膵炎」や「膵臓がん」、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、「唾石症」などが疑われます。



◆炎症反応

【CRP】

CRP(C-リアクティブ・プロテイン)は、組織細胞の破壊や炎症が起きたときに、血液中に増えるタンパク質です。炎症などが起こると、血液中のCRPは、24時間以内に、急激に増加し、炎症が治まると正常範囲に戻ります。CRP値が異常に高いときは、「急性の感染症」や「心筋梗塞」、「膠原病」、「がん」、「敗血症」などが疑われます。CRP値がわずかに高いときは、「慢性の炎症」が疑われます。

【リウマトイド因子(RA) 】

リウマトイド因子(Rheumatoid factor)は、リウマチ因子ともよばれます。慢性関節リウマチがあるときに、血液中にみられる自己抗体です。慢性関節リウマチの診断に役立ちますが、慢性関節リウマチの患者さんでも、およそ20%は陰性になります。また、「全身性エリトマトーデス」や「結核」などでも陽性になりますし、高齢になると健康な人でも陽性になることがあります。



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