受動喫煙リスク

受動喫煙は、ほんの少しでも有害

◆受動喫煙の流れ

14 受動喫煙リスクの説明

2002年に制定された「健康増進法」により、企業や病院など多数の人が利用する施設では、受動喫煙防止策が義務化されました。
そして2004年以後、受動喫煙に関しては、医学的な知識の集積が著しく進歩を極め、現在では、受動喫煙はほんの少しでも有害であるとの見方がされています。
受動喫煙においては、特に循環器系への影響が大きく、屋外での喫煙においても、広範囲に煙が流れて行くことから、多くの人に受動喫煙の影響が及ぶことが明らかになりました。

◆受動喫煙のメカニズム

たばこの煙は、喫煙者が吸う主流煙と700度の火元から立ち昇る副流煙から成り立っています。
主流煙は、200種類以上の有害物質が含まれており、副流煙は主流煙よりも高い濃度の有害物質が多く含まれています。
例を挙げれば、主流煙を1として、ニトロソアミン5・2倍、アンモニア4・6倍、一酸化炭素4.7倍、カドミウム3.6倍、タール3.4倍、ニコチン2.8倍など、受動喫煙では、この副流煙を自分の意思とは関係なく吸わされるのです。 この副流煙は、ほんの数秒間、鼻先をかすめただけでも、鼻や目やのどの痛みがおき、無意識に呼吸を抑えられます。
こうした受動喫煙によって、体の血管が収縮し、血液の流れが悪くなり、大きな病気のリスクを背負うことになります。
喫煙者の周囲にいる非喫煙者は、頭痛や吐き気など、多くの苦痛を強いられるのです。

◆受動喫煙により影響する病気

受動喫煙は多岐に渡った病状の要因となります。
副流煙を吸うと、目のかゆみ、痛み、鼻汁、鼻のつまりや、一酸化炭素の影響で、頭痛をも引き起こします。
この一酸化酸素は、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が流れにくくなる病気である動脈硬化を促進する事でも知られています。
気管支ぜんそくの発作を起こす人も、副流煙がその要因となる場合も多く、注意が必要でしょう。
そして肺がんもまた、受動喫煙の影響を受ける大病の一つです。
家庭で、夫が喫煙者である場合、その妻の肺がん死亡率を見ても歴然としています。
夫が、非喫煙者である場合を1とすると、夫が1日20本以上吸う場合は、2.08倍となり、夫も妻も喫煙者する場合は、何と3.77倍に跳ね上がります。
夫からの受動喫煙の影響で、そのリスクは相当高くなると言うデータも示されています。
この他にも、あらゆるがんの発症や生殖機能の低下が起こる危険性もあります。さらに妊婦が副流煙を吸った場合は流産、早産、死産の危険性だけでなく、アレルギーや喘息を持った子供、低体重児の生まれる可能性も高まります。
このように新しい命にも大きな悪影響を及ぼすだけでなく、命を奪ってしまうこともあるのです。

                      

◆受動喫煙を防止する「健康増進法」

ここ数年前までは、公園や遊園地などでは、ベンチの横に、必ず灰皿が置いてあり、ベンチに座って、たばこを吸う風景が当たり前のようにあちこちで見られました。 しかしここ数年、そうした公共の場での禁煙が次々に増えて行き、今では、職場や、レストラン、ホテルなどの分煙も浸透してきました。
周囲の人の健康への悪影響、健康保険運営上の問題もあり、今やタバコは「個人の自由でしょう」では済まされない受動喫煙の問題を含んでいます。
たばこは、麻薬のように取り締まる法律もなく、マナーの悪い喫煙も野放しというのが現状です。
喫煙者のニコチン摂取渇望は、非常に強固で、分煙、職場禁煙の説明も、喫煙者にはなかなか受け入れられないと言うのが実情です。

                      

◆逃れられない受動喫煙のリスク

副流煙はタバコを吸わない人にも襲いかかります。
受動喫煙のリスクは、多岐に渡って存在します。
喫煙者は自身のためにも禁煙をすることが望ましいですが、それが難しい場合は周囲に配慮することが必要でしょう。

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